豊富中学校新校舎改築に至る経緯

1 はじめに

 豊富町は、日本最北端の街・稚内市から40キロほど、南下した町で、国立公園の「サロベツ原野」と皮膚病等に効能を持つ「豊富温泉」を有し、酪農業を主産業としています。

 本校は、現在各2学級ずつの6学級、生徒数142名の宗谷管内では中規模校の学校です。昭和22年開校以来、町の中心部に位置し、数回にわたる学校統廃合とともに、部分的な増改築を繰り返しつつ教育活動を展開してきました。しかし、校舎の老朽化に伴い平成7年4月に耐久度調査の結果「危険校舎」の認定を受け、校舎取り組みが進められることになりました。そして、平成15年3月、北海道の小中学校では初めての「系列別教科教室型」の校舎棟が完成しました。

 

2 校舎改築運動の推移

 本校の校舎改築に至るまでの取り組みは、単に行政の手に委ねるのではなく、地域住民・保護者・生徒・教職員など、多くの町民の「まちづくり」推進の願いとともに進められてきました。

 

平成8年2月には、同窓会やPTAが中心となり「豊富中学校校舎新築期成会」が発足し、町理事者に対し新校舎建設運動を展開してきました。

平成10年5月には、21世紀を担う、心豊かでたくましい生徒の育成に、学校・保護者・地域が一体となって、その英知を結集し、豊中だからできる教育を創造していく観点で、子どもを中心に据えた教育課題を鮮明にし、その解決に向けて広く意見反映がなされる取り組みを進めるため、PTAの中に「豊中の教育を考える検討委員会」(4委員会)を設置し、これらの委員会や役員会などの討議を経て、平成10年12月「期成会」より、町理事者に次のような「請願書」が提出されました。

 

3 新しい豊中教育の期待

 21世紀を展望し、生徒一人ひとりの夢を育て、その実現を目指す「ゆとりと潤い」のある学校、生徒一人ひとりの個性を生かす教育の推進と生涯学習社会を志向し、地域に開かれた学校としての施設・設備であることを基本に・・・・・・

豊富町の豊かな自然と広い環境の中で、生徒一人ひとりの夢を育て、ゆとりと潤いのあ     

 る楽しいスクールライフが過ごせる環境であること。

21世紀のライフスタイルを目指し、未来志向の街づくりとマッチした教育環境を備えた施設設備であること。

生涯学習環境整備の一環として学校施設を位置づけ、既存の周辺施設とのネットワーク化を図り学校教育・社会教育との有機的展開が可能な環境であること。

この後、数回の期成会役員と町理事者との懇談の後に、建設予定地の選定が行われることになり、校舎改築の具体的な作業を進めるための事業化計画が策定されました。


4 校舎改築事業化の骨子

〈事業化計画の位置づけ〉

第1段階(基本構想づくり)

 計画条件整理・基本目標・基本方向づくり・・・・・・・・・平成12年5月〜10月

第2段階(設計者選定)

 設計者選定に必要な条件整理・参加者の選定・技術提案書検討・ヒアリング・設計者選定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・平成12年10月〜12月

第3段階(設計段階)

 基本設計・・・・・・・・・・・・・・・平成13年12月 実施設計(地質調査解析)

第四段階(工事段階)

 工事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14年度

〈計画推進の方法〉

  基本構想段階での策定体制として、次の諸会議を設置し、事業の段階に合わせた適切な住民参加、幅広い情報の提供・共有化を行いつつ、住民の理解を得ながら進められていきました。

『豊中づくり住民会議』〜公募による子ども・大人・庁内関連部局職員などによる、町民に親しまれる魅力ある学校づくりを目指した住民主体のワークショップ型会議で、学校づくりに関する多くの意見・アイディアを収集しました。

『豊中づくりと生徒会』〜生徒の代表による会議

『先生との意見交換会』〜系列別教科教室の検討

『豊中づくり代表者会議』〜学識経験者・学校建築に詳しい専門家・庁内関連部局・住民会議代表者・宗谷支庁建設指導課などによる学校づくり住民会議で得られた意見・アィディアを基に、学校づくりの基本的な考え方(基本構想)を策定しました。

 

5 学校運営方式の検討

一般的に中学校では、教科担任制をとる性格から学年ごとに多目的スペースを設けても割活用が進まない、学習指導よりも生徒指導に精力を割かれるのが現実的等の声があった。

しかし、一方で、多様な教育方法に対応した施設設備で行う「教科教室型」の運営方式を行う中学校も増えており、平成4年3月に文部省から出された中学校施設設備整備指針の中でもその有効性が指摘されている。

教科の個別化・個性化・総合学習など、「教える」から「自ら学ぶ」教育へと大きな転換期を迎えている。

豊富中学校の管理運営方式は、種々の会議での意見を基に、「豊富市街地に位置する中学校にふさわしい各教科の高度化・複合化、生徒の『自ら学ぶ姿勢』に対応する系列別教科教室型」による運営を行うことになった。

運営方式検討や設計段階でも本州各地の先進地・先進校での視察研修を実施させていただいた。